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第28回経営研究会
この度の震災を受け、日本クリーニング生産性協議会は当初東京近郊にて開催を予定していた経営研究会を「東北復興シリーズ」と銘打ち、被災地と被害のあった当会会員企業に対しどのようなことが出来るか、また災害に直面した時何が必要なのかを学ぶ場としてクリーニング生活衛生同業組合と宮城県のご協力のもと宮城県松島の地にて視察勉強会を開催しました。



東北復興シリーズ

 

第1日目:講演会

 

武者光明氏

 

 

1. 宮城県環境生活部 食と暮らしの安全推進課 課長補佐 武者光明氏
 武者氏は震災直後の体験と宮城県内の被害状況及び今後の課題について語って頂いた。
 震災後一夜明け、様変わりした街並み、家族を失った被災者を目の前にし仕事をしながらも涙をこらえることが難しかった。その被害の状況は県内の一つの自治体が一瞬にして失う程の死者・行方不明者数が物語る。マグニチュード9.0 震度7の地震は県内に8.6m以上の津波をもたらし最大で内陸5q地点にまで到達した。6月15日時点での統計で死者9,151人、行方不明者4,742人、漁港は全て壊滅状態、被害総額3兆2,099億円(未計上多数あり)正に未曾有の被害である。
 目下の課題として、仮設住居の建設、田の塩分除去等その他山積しているが、沿岸地域はリアス式のため元々土地が少なく仮設用地が乏しい、また仮設住宅に入居をしたとしてもその後の自立するための施策がまだまだ不十分である。
 この震災での教訓として、
 1.震度では判断しない 2.津波があると思って即避難 3.車は使用しない 4.遠くよりも高くそしてより頑丈な建物に 5.一目散に逃げる(助け合いよりもまず自分)
 「想定を超える」では駄目、想定はしなければ対応が遅れるもの。
 最後に、被災地への全国から支援に感謝するとともに、何とか明日が見え始めた気がしていますが、不明者、避難者、地盤沈下のため満潮時のたびに冠水する地域が多く復興はまだまだ時間がかかる。亡くなった方々のために必死で生きていく覚悟を語り今後とも長期的・継続的な支援を訴えていただきました。

 

 

金子征実氏

 

 

2. 全国クリーニング生活衛生同業組合連合 事務局長 金子征実氏
 まずは、震災を受け組合員より募金と店頭募金により5,750万を集めることができました。現在、宮城・岩手で被災された約130名の組合員を巡回し被害の状況の把握と今後への対策を検討し、業界各紙でも取り上げられているのでここでは割愛したいが、対策案に対しての課題が数多くある。被災地を巡っていて感じるのは、復興へのスピードが土地によって全く異なるため、より早く対策案を軌道にのせるよう努力していこうと考えると語っていただいた。この講演では顧客との繋がり、信頼というものがいかに大切であるかを感じ、また、金子氏の迅速・大変であろう活動に敬意を感じました。

 

鎌田厚司氏

 

 

3. 宮城県クリーニング生活衛生同業組合 理事長 鎌田厚司氏(当会会員)
 株式会社リヴァイブ代表でもある鎌田氏は震災直後の生々しい状況を生活や工場運営の観点からも熱く語って頂きました。
 工場は全壊であることは前号のニュースでお伝えしていたが、震災直後、工場にいらっしゃった鎌田氏の迅速な行動、日々の行動基準の備えが、いかに大切なのかしみじみと講演を聴いて感じました。
 震災時の対応として、事前準備と迅速な行動が不可欠であることと、何よりも現金が大切であるという。現状把握の中で何が足りなのか、何に代用が出来るのかそれにはお金が必要である。「今日を生き抜くため」そんな意思が強く感じました。
 経営者として、これからの災害対策として把握しなければならないのは、工場が建っている場所は過去どんな土地であったのか、燃料も例えばガスであれば都市ガスだけでなくプロパンも併用するようにしておいた方が良いであろうと仰られたが、最後にこと状況に陥れば行政は全く当てにならないということは覚悟しなければならないということであった。

 

第2日目:被災地視察

 

仙台空港着陸前の荒廃した光景

 

住宅地も復興の目途が立たず放置状態

 

瓦礫が散乱したままの農地

 

仙台空港着陸前の荒廃した光景

 

住宅地も復興の目途が立たず放置状態

 

瓦礫が散乱したままの農地

 被災現場を歩いて視察することは出来ないため車窓からの写真であるが、ガイドさんからの当時の話を聞きながら、実際に目の当たりすると言葉を失う惨状が広がっていた。

 

総 括

 

経営研究会風景

 

 

 自然の猛威を前にして人間はいかに無力なのか、「想定」に対しての「準備」を改めて見直さなければならない。震災はいつやってくるか分からない。分からないからこそ早急な準備が必要であろう。
 東北の復興への道のりは現状を見ると本当に長く困難な道のりであろうと感じるが、今回この経営研究会で携わった東北の方々から多くの笑顔と感謝を頂いた、こちらの方が勇気づけられる感覚があった。引き続き会として何が出来るのかを考えて長期的に支援が出来るようにしたいと感じました。

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